WEBデザイナーとは?仕事内容、将来性などを自身の経験も含め解説

WEBサイトをはじめとしたWEB制作全般を、クライアントの要望を満たしながらデザインするのがWEBデザイナーのお仕事です。近年、耳にする機会が増えていますが、実際にはどのような職業か知らない人も多いと思います。
この記事では、私の経験を踏まえながらWEBデザイナーという職業について詳しく解説します。これからWEBデザイナーを目指す方や興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください!
1. WEBデザイナーとは
WEBデザイナーとは、WEBサイトやLP(ランディングページ)をユーザーの目を惹くような魅力的かつ見やすく、使いやすいデザインに仕上げるお仕事です。
普段、皆さんがWEBサイトを見ているときにこんなことを感じたことはありませんか?
「このお店、おしゃれそうだから行ってみたい」
「この会社、信頼できそう」
「このボタンを押したら次のページに進むんだな」
「ここから応募ができるのか」
これらの印象や直感的な操作性を実現するのがWEBデザイナーの役割です。
次に、WEBデザイナーの具体的な仕事内容を見ていきましょう。
2. WEBデザイナーの仕事内容
WEBサイト制作の主な工程は、以下の4つに分けられます。
- クライアントからのヒアリング
- 構成(ワイヤーフレーム)作成
- デザイン作成
- コーディング作業
一つずつ、簡単に解説していきます。
クライアントの要望をヒアリングし、サイトの目的や必要な機能を明確にします。この作業でサイト制作の方向性が決まります。
ヒアリング内容を基に、ページ構成や要素の配置を白黒で図解したワイヤーフレームを作成します。これにより、サイト全体の骨組みが視覚化されます。
ワイヤーフレームに基づき、色や装飾を加えて、視覚的なデザインを仕上げます。多くの人がイメージする「デザイナーらしい仕事」はこの工程に当たります。
作成したデザインをWEB上で機能する形にするために、HTMLやCSSを用いてコーディングを行います。これにより、ユーザーがサイトを閲覧できる状態になります。
WEBデザイナーの主な担当は「3.デザイン作成」ですが、会社やプロジェクトによって担当範囲はさまざまです。
実際私は自社開発の会社と受託開発の会社をそれぞれ経験していますが、
自社開発の会社では1,2,3,4の全てをWEBデザイナーが担当し、
受託開発の会社では1,2をWEBディレクター、3をWEBデザイナー、4をWEBコーダーとそれぞれ分かれて担当していました。
「これから好きなデザインができる」と思っていたのに、入社後に他の分野もやらされて「思っていたのと違う…」とならないよう、求人や面接時に担当範囲をしっかり確認するようにしましょう。
3. WEBデザイナーの将来性
WEBデザイナーの将来性はどうでしょうか?
結論として、WEBデザイナーはこれからも必要とされ続ける職業だと考えます。その理由を以下に説明します。
1. 市場規模の拡大
コロナ禍をきっかけにデジタル化が急速に進み、WEB業界の市場は年々拡大しています。この流れは今後も続くと予想され、WEBサイトやオンラインサービスへの需要は高まり続けるでしょう。結果として、WEBデザイナーの仕事がなくなる可能性は低いと言えます。
2. クリエイティブな職業
WEBデザイナーは「0から1を生み出す」クリエイティブな職業です。単なるデザイン作業ではなく、クライアントの要望を形にし、唯一無二の作品を作り上げます。その作品はその人にしか作れないものなので、高いデザインスキルを身につけることで代わりの効かない人材として必要とされ続けます。
3. 人間の強み
一部では「WEBデザイナーはオワコン」といったような意見を耳にすることがあります。その理由として、以下が挙げられます。
- AIツールの進化:デザインの自動化が進む
- 人材の飽和:WEBデザイナー志望者の増加
これらは一理あるものの、AIはあくまで補助ツールであり、クリエイティブな発想や直感的なデザインは人間にしかできません。AIは元あるものから学習してデザインを作っているにすぎないので、全員がAIを使うようになると似たり寄ったりなデザインしか生まれなくなります。他よりいいデザインや人を惹きつけるデザインが求められる限りWEBデザイナーは必要とされます。
また、プログラミングスクールなどの増加や働き方の多様化によりデザイナーが飽和してきているのは事実ですが、それはあくまでスキル不足の人材の話です。スキルの高いWEBデザイナーはまだまだ必要とされています。競争が激化している中でもスキルを磨き、差別化を図ることで活躍の場を広げることは十分可能です。
4. WEBデザイナーの給料
WEBデザイナーの平均年収は、約390万円とされています。これを聞いて「低い」と感じた方も多いかもしれませんが、そう判断するのはまだ早計です。
WEBデザイナーの収入はスキルや経験に応じて大きく変わります。
案件ごとに報酬を設定できるため、成功すれば高収入が期待できる。
専門知識を活かして他の職種に進むことで、収入アップが可能。
幅広いスキルを持つことで、仕事の選択肢が増やすことができる。
上記のようにWEBデザイナーのキャリアパスは多岐にわたります。
また、平均値は初心者からベテランまでを含んでおり、あくまで参考値に過ぎません。将来性や働き方の柔軟性を含めて総合的に判断することが大切です。
WEBデザイナーのキャリアパスについてさらに詳しく知りたい方は、別の記事をご覧ください。
5. WEBデザイナーとして働く方法
WEBデザイナーとして働く方法は、主に以下の2つです。
1. 会社員として就職する
WEB制作会社や事業会社に就職し、安定した収入を得ながらスキルを磨く方法です。チームでの制作やクライアントとのやり取りを通じて、多くの実務経験を積むことができます。
2. フリーランスとして活動する
クラウドソーシングサービス(例:クラウドワークス、ランサーズ)を活用して、案件ごとに仕事を受注する方法です。自由な働き方が魅力ですが、自己管理能力や営業スキルも求められます。
どちらの働き方を選ぶにしても、まずは ポートフォリオ(自分の作品集) を準備する必要があります。
「作品がないから作れない…」と感じる方もいるかもしれませんが、未経験からでも練習作品や模擬案件でポートフォリオを作成できます。具体的な作成方法については、未経験者向けに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
6. WEBデザイナーに必要なスキル
WEBデザイナーに必要なスキルは、大きく分けて以下の2つです。
1. デザインスキル
デザインスキルは、WEBデザイナーとして欠かせない基本スキルです。
- Adobeツールの操作スキル
Photoshop、Illustrator、XDなどを使いこなす能力。 - 色彩やデザイン知識
色の組み合わせやレイアウトがユーザーに与える印象を理解する力。 - クライアントの要望を把握する力
クライアントの意図やターゲットに合わせたデザインを提案する力。
WEBデザイナーと聞くと「絵を描く人」や「芸術家」を想像する方もいるかもしれません。しかし、WEBデザイナーの仕事は芸術家のようなアートではなく、クライアントが求める成果物を形にすることです。そのため、デザインスキルだけでなく、「ヒアリング力」もWEBデザイナーにはとても大切なスキルです。
2. コーディングスキル
コーディングスキルは、作成したデザインを実際にWEBサイトとして動かすためのスキルです。
- HTML・CSSの基礎知識
サイトの構造を作り、見た目を整えるための基本スキル。 - JavaScriptやjQuery(あれば尚良い)
動きのあるデザインや、より高度な機能を実現するスキル。
コーディングスキルがあれば、転職時の評価が高まるだけでなく、仕事の幅も広がります。デザインを専門にしたとしてもWEB制作の中で関わる機会は必ずあるため、必須ではありませんが、基礎的な知識は身につけておいた方がいいでしょう。
コーディングについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
プラスαのスキル
以下のスキルを身につけると、さらに評価を高めることができます。
- WEBディレクションスキル
プロジェクト全体を管理し、進行を調整するスキル。 - WEBマーケティングスキル
ユーザーのニーズを把握し、実際の売り上げを意識したデザインなどを提案するスキル。
これらも必須ではありませんが、習得しておくと人材としての価値も上がり、キャリアの幅が大きく広がります。余裕がある場合は、ぜひ身につけてみてください。
7. WEBデザイナーのやりがいや楽しさ
WEBデザイナーのやりがいや楽しさには、以下の5つがあります。
1. 自分の作品が多くの人に見られる
WEBデザイナーの魅力の1つは、自分のデザインがインターネット上で多くの人に見られることです。友人や家族にも気軽に見せることができ、作品が実績として積み上がる感覚は大きなやりがいになります。
2. クライアントに喜ばれる
クライアントから「とてもいいデザイン」と褒められるのは、デザイナーをする上で、とても嬉しく自信にも繋がります。
また、サイトへの流入が増えたなど自分のデザインがクライアントの目標達成に貢献することで、大きな達成感を得られます。
3. 0から1を生み出す仕事
WEBデザイナーは、何もないところからデザインを作り出すクリエイティブな職業です。ロジカルに考えながらも、センスや独自の発想を取り入れることで自分にしか作れない唯一無二の作品を生み出すことができます。
仕事の中でも変えが効かない人材になれる職業は多くはないので、長いキャリアを歩む上でも非常にやりがいがあります。
4. キャリアパスの幅広さ
WEBデザイナーのキャリアは多岐にわたります。デザイナーとして専門性を高める道だけでなく、WEBディレクターやフロントエンドエンジニア、マーケターへのキャリアチェンジも可能です。
私自身、最初はデザイナーとして働いていましたが、途中でコーディングの楽しさに目覚め、ほぼコーダーとして働いていた時期もあります(笑)。
また、現在ではWEBディレクターとして幅広い業務を担当しています。デザイナーやコーダーとして働いていた時期の知識もかなり活きているので、これらのキャリアチェンジは選択肢として大いにありだと思います。
どれだけ今はWEBデザイナーがいいと思っていても、長いキャリアの中でいつ心境の変化があるかわかりません。そのため幅広い選択肢があるのは、これから長いキャリアを歩む上で大きなメリットだと思います。
5. 柔軟な働き方ができる
スキルを身につけることで、フリーランスとして自由な働き方が実現可能です。また、会社員としてもリモートワークやフレックス勤務を導入している企業が多く、自分のライフスタイルに合わせた働き方を目指すことができます。
8. WEBデザイナーの厳しさ
WEBデザイナーにはやりがいや楽しさがある一方で、以下のような厳しさもあります。
1. 未経験から目指すのは簡単ではない
未経験からWEBデザイナーになるのは、他の専門職に比べれば短い期間で可能ですが、「未経験から3ヶ月でなれる」「在宅ワークで自由な働き方を」などの甘い広告を鵜呑みにするのはとても危険です。
プログラミングスクールで学ぶのはあくまで基礎であり、実務で通用するにはさらに努力が必要です。競争率も高まりつつある中、他の未経験者や経験者と競い合うにはスキルを確実に身につける必要があります。
2. 好きなデザインだけを作れるわけではない
WEBデザイナーの仕事は、クライアントの要望に応じたデザインを作成することです。自分の好みとは異なるスタイルや要件を求められることも多いため、柔軟な対応力が求められます。
3. ロジカルな思考が必要
WEBデザインは、見た目の美しさだけでなく、機能性やクライアントの目的を満たす設計が求められます。アートのような芸術と違い、なぜそのデザインにしたのか、どういった意図があるのかを論理的に説明する必要があります。
4. センスが問われる場面もある
「WEBデザイナーにはセンスは不要」と言われることもありますが、実際には装飾や細部のデザインでセンスが求められる場面も多いです。私自身も「センスは必要ない」と言われたことがありましたが、現場で働く中で「やはりセンスは重要」と感じました。
もちろんセンスだけでなく、経験やロジカルな思考も重要ですが、センスが絡む部分があることは理解しておいた方がいいと思います。
5. 業界の変化が早い
WEB業界は常に新しい技術やトレンドが生まれ、数年前の知識が古くなることも珍しくありません。継続的な学習と情報収集が求められるため、変化に対応する柔軟性が必要です。
9. まとめ
ここまでWEBデザイナーについて話してきました。私自身WEBデザイナーとして働いてみて、メリットの多い職業だと感じました。そのため、これからWEBデザイナーを目指そうと考えている方やすでに目指して努力してされている方を心から応援しています。ただ、その際は広告などの過剰なメリット表記に騙されず、厳しい部分もしっかりと覚悟した上で目指していって欲しいなと思います。