2025.06.05 2025.06.05

ヘッドレスCMSとは？特徴や普通のCMSとの違いについても解説

yamagata

ヘッドレスCMSは、従来のCMSとは異なり、コンテンツ管理と表示を分けることで、さまざまなデバイスやプラットフォームに柔軟にコンテンツを配信できます。このアーキテクチャにより、開発者はフロントエンドとバックエンドを独立して管理でき、効率的にコンテンツを活用することが可能になります。

ヘッドレスCMSの基本概念
ヘッドレスCMSと従来のCMSの違い
ヘッドレスCMSの特徴と利点
ヘッドレスCMSの種類
ヘッドレスCMSの活用法
まとめ

1. ヘッドレスCMSの基本概念

ヘッドレスCMSとは、コンテンツ管理と表示を分けた新しいタイプのコンテンツ管理システム（CMS）です。通常のCMS（例：WordPressやJoomla）では、コンテンツを管理するだけでなく、同時にそのコンテンツをどのように表示するかも管理します。

しかし、ヘッドレスCMSでは、フロントエンド（表示部分）とバックエンド（管理部分）が独立しており、フロントエンド部分は別途開発します。

これにより、ウェブサイト、モバイルアプリ、IoTデバイスなど、あらゆるプラットフォームで同じコンテンツを使い回せるという大きな利点があります。例えば、同じブログ記事をスマートフォンのアプリにもウェブサイトにも同時に配信できるわけです。

【画像：ヘッドレスCMSの構造を示すシンプルな図】

2. ヘッドレスCMSと従来のCMSの違い

従来のCMSの特徴

従来のCMSは「フルスタックCMS」とも呼ばれ、コンテンツの管理から表示までを一つのシステムで完結します。

たとえば、WordPressやDrupalなどでは、コンテンツ管理画面で記事を作成したり、デザインテンプレートを編集したりすることができます。このタイプのCMSでは、コンテンツと表示が一体化しているため、構築が簡単な一方で、他のプラットフォームでの再利用が難しいという欠点もあります。

ヘッドレスCMSの特徴

一方、ヘッドレスCMSはコンテンツの管理のみを担当し、表示部分は開発者が自由に設計できます。ヘッドレスCMSでは、コンテンツを「ヘッドレス（頭のない）」状態で管理し、その後に必要な場所（ウェブサイト、アプリ、SNSなど）にAPI経由で送信されます。これにより、複数のデバイスやプラットフォームに対応するための柔軟性が高まります。

【画像：従来のCMSとヘッドレスCMSの比較図】

3. ヘッドレスCMSの特徴と利点

1. 柔軟なコンテンツ配信

ヘッドレスCMSの最大の特徴は、同じコンテンツを複数のプラットフォームに配信できることです。例えば、ウェブサイトだけでなく、スマートフォンアプリやIoTデバイスなどにもコンテンツを簡単に配信できます。これにより、企業や個人は、さまざまなチャネルを使ってコンテンツを届けることが可能になります。

2. フロントエンドとバックエンドの分離

フロントエンドとバックエンドが分離しているため、開発者は自由にデザインを変更できます。これにより、最新のフロントエンド技術（ReactやVue.jsなど）を使用して、より高機能で美しいウェブサイトやアプリケーションを開発できます。

3. 高速なパフォーマンス

ヘッドレスCMSは、APIを通じてデータをやりとりするため、リクエストの処理が迅速に行われます。これにより、従来のCMSよりもパフォーマンスが向上し、ユーザーの体験が向上します。

4. スケーラビリティ

ヘッドレスCMSは、コンテンツが分散して管理されるため、大規模なトラフィックや多くのコンテンツを効率的に処理できます。企業が成長するにつれて、システムのスケーラビリティも向上します。

【画像：ヘッドレスCMSの利点を箇条書きで示した図】

4. 主なヘッドレスCMSの種類

ヘッドレスCMSにはさまざまな種類があり、それぞれの特性によって適した用途が異なります。開発者向けの柔軟なものから、ノーコード・ローコードで使えるものまで、用途に応じて選ぶことが重要です。
以下に日本市場向けの代表的なヘッドレスCMSをまとめました。

CMS名	特徴	料金プラン	用途例	国内シェア率
microCMS	日本製のヘッドレスCMS。直感的な管理画面と日本語サポートが充実。導入事例も豊富。	料金プランあり有料プランは月額5,390円〜	Webサイトアプリデジタルサイネージなど	約3.4%
kroco	エンタープライズ向け機能が充実した日本製ヘッドレスCMS。 APIゲートウェイやワークフロー機能を備える。	要問い合わせ	大規模サイト業務システム	データ不足
Contentful	グローバルで広く使われるヘッドレスCMS。 APIベースで拡張性が高い。	有料プランあり	エンタープライズ向けサイト	約2.6%
Strapi	オープンソースのヘッドレスCMS。セルフホスティングが可能で、Node.jsベース。	無料/有料プラン	小規模〜中規模プロジェクト	約1.3%
Sanity	柔軟なデータ管理とリアルタイム編集機能が特徴。高度なカスタマイズ性を持つ。	有料プランあり	メディア, ブログ向け	約1.2%

※国内シェア率は、2024年12月時点の日本国内CMS市場における推定シェアです。

各CMSの詳細

1. microCMS

・特徴
日本製のヘッドレスCMSで、直感的な日本語対応の管理画面を提供。2019年のリリース以来、多くの国内企業で採用されています。

・料金プラン
無料プランのほか、月額5,390円からの有料プランを用意。

・用途例
Webサイト、モバイルアプリ、デジタルサイネージなど、多様なデバイスへのコンテンツ配信に適しています。

2. Kuroco

・特徴
エンタープライズ向けの日本製ヘッドレスCMSで、APIゲートウェイやワークフロー機能、ユーザー管理などの高度なバックエンド機能を備えています。

・料金プラン
詳細は要問い合わせ。

・用途例
大規模なWebサイトや業務システムとの連携が求められるプロジェクトに最適です。

3. Contentful

・特徴
グローバルで広く利用されているヘッドレスCMSで、APIベースの設計により高い拡張性を持ちます。

・料金プラン
有料プランを提供。

・用途例
エンタープライズ向けの大規模サイトや多国籍企業のWebサイトに適しています。

4. Strapi

・特徴
オープンソースのヘッドレスCMSで、Node.jsベースのためJavaScript開発者に馴染みやすく、セルフホスティングが可能です。

・料金プラン
無料プランと有料プランを提供。

・用途例
小規模から中規模のプロジェクトや、コストを抑えたい開発案件に適しています。

5. Sanity

・特徴
柔軟なデータ管理とリアルタイム編集機能を備え、高度なカスタマイズが可能です。です。

・料金プラン
有料プランを提供。

・用途例
メディアサイトやブログなど、頻繁なコンテンツ更新が求められるサイトに適しています。

選定のポイント

日本語サポートの有無

日本語対応のサポートやドキュメントが必要な場合は、microCMSやKurocoなどの日本製CMSが安心です。

プロジェクトの規模と予算

大規模でエンタープライズ向けのプロジェクトにはKurocoやContentful、小規模でコストを抑えたい場合はStrapiやmicroCMSが適しています。

カスタマイズ性と拡張性

高度なカスタマイズや特定の技術スタックを活用したい場合は、StrapiやSanityが選択肢となります。

各CMSの特徴やシェア率を踏まえて、プロジェクトに最適なヘッドレスCMSを選定してください。

5. ヘッドレスCMSの活用法

1. マルチチャネルでのコンテンツ配信

ヘッドレスCMSは、ウェブサイトだけでなく、モバイルアプリ、デジタルサイネージ、さらにはIoTデバイスなど、さまざまなチャネルにコンテンツを配信するために活用されます。

たとえば、オンラインショップの製品情報やブログの記事を、PCサイト、モバイルアプリ、さらにはスマートウォッチで表示することができます。

2. エンタープライズ向けの大規模コンテンツ管理

企業や大規模な組織では、複数のチームが異なるデバイスやプラットフォームにコンテンツを配信する必要があります。ヘッドレスCMSを使うことで、すべてのコンテンツを一元的に管理し、必要な場所に迅速に配信することが可能です。

3. API連携で効率的なデータ管理

ヘッドレスCMSでは、API経由でデータを他のシステムと連携させることができます。

たとえば、CRMシステムや分析ツールと連携させることで、コンテンツの効果を測定したり、ターゲティングを強化したりできます。

【画像：ヘッドレスCMSと他システムとのAPI連携図】

6. まとめ

ヘッドレスCMSは、コンテンツ管理と表示を分けることで、柔軟性と効率性を大きく向上させることができます。特に、複数のプラットフォームでコンテンツを配信したい企業や、最新技術を活用したい開発者にとって、ヘッドレスCMSは非常に有用です。

従来のCMSと比べて導入には少し学習が必要ですが、その分得られるメリットは大きく、将来的には企業の成長を支える強力なツールとなるでしょう。

ヘッドレスCMSを使うかどうかは、あなたのプロジェクトやビジネスの規模、目的によって決まりますが、柔軟でスケーラブルなコンテンツ管理を目指すのであれば、検討する価値は十分にあります。

ABOUT ME